イラン紛争でイーサリアムがS&P500を17%上回る、トム・リー氏が金よりも仮想通貨を推奨
Fundstratのトム・リー氏は、イラン紛争下でイーサリアムがS&P500を相対ベースで17%上回ったことを受け、有事の際の価値保蔵手段として金よりも仮想通貨を推奨。ビットコインや主要資産を凌駕する相場環境が注目されている。
何が起きたか
2月下旬に始まった米国とイスラエルによるイラン紛争以降、イーサリアムはS&P500を相対ベースで17%上回るパフォーマンスを記録している。Fundstratの3月の研究報告書によれば、この期間におけるイーサリアムの上昇率は、ビットコイン、金、不動産、MSCI World Energy、さらには「Magnificent 7」と呼ばれるテクノロジー大型株など、主要なグローバル市場ベンチマークをすべて上回っている。
同社のリサーチヘッドであるトム・リー氏は、この相場環境において仮想通貨、特にイーサリアムが従来の有事の際の価値保蔵手段である金よりも優れた選択肢であると主張している。歴史的には、地政学的リスクが高まる局面では投資家は金に殺到するのが常であったが、今回のイラン紛របには異なるパターンが見られたということである。
市場への影響
このパフォーマンスの差異は、複数の市場要因が重なった結果と考えられる。まず、地政学的緊張の高まりは一般的にドルの買い戻しを招くが、同時に金利上昇への懸念から債券市場に圧力をかける。この環境下では、金融引き締め政策への反発からテクノロジー関連資産が売られやすくなり、S&P500の重みの多くを占めるメガキャップテック企業の相場が伸び悩みやすい。
一方、イーサリアムを含む仮想通貨市場は、機関投資家による現物ビットコイン投信(ETF)の承認やスポット取引の拡大といった構造的な変化の恩恵を受けている。また、仮想通貨市場の低流動性という特性から、相対的に小さな買い需要でも価格変動が大きくなりやすい。紛争時の資産逃避先として機関投資家や個人投資家による需要が流入した可能性も無視できない。
金市場も同様に上昇しているが、イーサリアムの上昇速度がそれを上回った背景には、より投機的な資本流入が存在すると推測される。つまり、この相場環境は単なる安全資産への逃避というより、リスク・セッションの再評価と、仮想通貨市場の成熟度向上による機機構成の変化を示唆しているのである。
今後の見通し
トム・リー氏の主張が示唆する重要なポイントは、仮想通貨市場における構造的な地位の上昇である。従来、有事の際の安全資産といえば金や米国債が定番であったが、デジタル資産への信任が高まるにつれ、その役割分担が変わりつつある。ただし、これはイーサリアムやビットコイン全般における高い変動性が消滅したことを意味しない。
今後の展開としては、イラン紛争の緊張度がさらに高まれば、一層の資本逃避が仮想通貨に向かう可能性が高い。しかし同時に、米国の利下げ見通しが後退することになれば、ドル高とそれに伴う仮想通貨売却圧力も想定される。このため、相場の方向性は地政学的リスクと金融政策のスタンスの綱引きによって決まると考えるべき局面である。
専門家の間では、仮想通貨がポートフォリオの一部として組み入れる価値が高まっているとの見方が増えつつあり、特に機関投資家のアロケーション拡大がさらなる上昇をもたらす可能性も指摘されている。ただしボラティリティ管理は引き続き重要である。
トレーダーへのポイント
イーサリアムのこのようなパフォーマンスは、単一の要因ではなく複数の要素が相互作用した結果である。トレーダーにとっての実践的なアドバイスとしては、第一に地政学的リスクと仮想通貨相場の相関性を注視することである。米国とイランの関係緊張度が相場を大きく動かす可能性があるため、関連ニュースへの常時監視が不可欠である。
第二に、イーサリアムのようなメジャー仮想通貨であっても、金や株式市場との相関性は流動的であることを認識すべきだ。従来のポートフォリオ理論に基づく投資判断だけでなく、市場構造の変化を感知する柔軟性が求められる。
第三に、有事のリスク資産配分の見直しが加速する可能性を考慮した上で、仮想通貨市場全体の流動性や機関投資家のポジション状況を把握することが重要である。特にビットコイン現物ETFのフローに注目することで、機関投資家の行動を先読みできる可能性がある。
最後に、仮想通貨市場は金や株式に比べて時間外取引の比重が高く、地政学的ショックが発生した際の値動きが激しくなりやすい。したがってリスク管理とポジションサイジングの厳格さが、他の資産クラス以上に重要となることを忘れてはならない。
情報提供元: benzinga.com
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